一枚の写真の中にも人それぞれの作風があるが、ある日突然その根底となっている(あるいは影響された)ものが何だったかという答えが浮かび上がってくるときがある。先日、ジャン=リュック・ゴダール監督の「カルメンという名の女」のDVDを買った。この映画は、今は亡きシネヴィヴィアン六本木で同監督の「パッショ ン」に続いて上映された作品で、当時リバイバルで観た「気狂いピエロ」に夢中になっていた17歳の自分が、リアルタイムで体験したゴダールだった。
家電製品やソフトの普及により、いつでもお気に入りの作品に触れることができるという一昔前では考えられなかった現在、改めてそれらを見返してみると、自分自身の脳裏にいかにその映像と音が深く焼き付いていたかということが分かってくる。
早朝の海辺で撮影した一枚を見て、ぼそぼそとつぶやくようなゴダールの声が聞こえてきたのは偶然ではなかった。
